創作【4seasons】第21話 オトナノココロトカラダ?

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【4seasons】第21話 オトナノココロトカラダ?

(img OP 裸の裸の裸のKISS)

●愛菜のマンション前・梅雨時期
 雨が街を濡らす。
 街灯の明かりに雨粒がはっきり見える。

●莉々の部屋
 ようやく買ったベッドが置かれている。
 他にもドレッサーや勉強用の机と椅子も買い揃えられ、生活している部屋という感じになっている。
 壁には制服が掛かったハンガー。
 机に向かい、ファイルに目を通している莉々。
 ファイルには”Burning Rain”という文字と”仮”というスタンプが押されている。
 新曲(莉々のデビュー曲)の歌詞である。
 その歌詞を見ながら険しい表情をしている莉々。
 と、ノックの音。
莉々「(ファイルを見つめたまま)どうぞ」
 ドアが開き、愛菜が部屋の中へ。
 その手には氷を入れたジュースのグラス。
 そのグラスを机の上に置く愛菜。
莉々「ありがとう」
愛菜「(うんうんと頷き)初めての自分の曲の感想は?」
莉々「面白いなって思うんだけど、同じくらい難しいなとも思う」
愛菜「何とも言えないけど、アップテンポなんだけど、少し物悲しいメロディラインだね」
莉々「だよね」
愛菜「時期的にも夏発売だし」
莉々「正直、ちょっと歌詞が大人すぎる気もする……」
愛菜「確かにね。デモは聴いた?」
莉々「うん……」
 愛菜が莉々のベッドに腰を下ろす。
莉々「この”焼けた雨に濡れた夜”とか”あなたまで霞んで見える景色の夜明け”って、やっぱりそういう意味だよね?」
愛菜「実体験はないけど、そういうことなんだろうね」
莉々「そりゃ子供じゃないし、言葉の意味はわかるけど、どういう気持ちかっていうのがね……」
愛菜「まあ、わかってないくせにわかったような顔で歌うんだから、よくよく考えると複雑だね」
莉々「でしょ?」
愛菜「実際どうなんだろうね。ほんとにそんな風に思ったりするものなのかな?」
莉々「どうだろう」
愛菜「男と一緒に寝るって云うのがあんまり想像できないしなあ」
莉々「まだまだ子供過ぎるもんね、私たち」
愛菜「訊いてみようか?」
莉々「えっ⁉誰に?」
愛菜「んー……美月たちは経験ある気がするけど、多分話してくれないだろうし……歌詞に近い年齢の人って誰かいたかな……」
莉々「歌詞的には私たちより少し上って感じだよね……」
愛菜「そうだ」
 誰か思いついたらしい愛菜、早速電話をかけに部屋を出てゆく。

●愛菜のマンション
 若干強くなっている雨。

●リビング
 ソファに腰かけ、濡れた体をタオルで拭っている羽田翔子(21)
 正面の席で緊張している莉々。
莉々「(立ち上がり)はじめまして。新人の桂木莉々です」
翔子「うん。はじめまして。話は聞いているよ」
愛菜「(テーブルにコーヒーを置き)すみませんねえ、急にお呼び立てして」
翔子「まあいいけど、どうかした?」
愛菜「ちょっと翔子さんに訊きたいことがあって」
 莉々の隣に腰を下ろす愛菜。
翔子「(コーヒーを啜り)なに?改まって」
愛菜「面倒なんで単刀直入に訊きますけど、セックスってどんな感じですか?」
 唐突な質問にコーヒーを吹き出しそうになる翔子。
翔子「(むせながら)いきなり呼び出して何かと思えば……」
愛菜「いや、ふざけて訊いてるんじゃないんですよ。実は、あたしらの新曲ができていまして、それが未経験者のあたしらにはちょっと難しくて」

**********

 デモテープのアウトロ。
 カセットのスイッチを切る愛菜。
愛菜「本当はマズイんですけど、翔子さんはウチの先輩だし」
翔子「わかってる。誰にも漏らさないよ」
 頭を下げる莉々たち。
 歌詞を改めてじっくり読む翔子。
翔子「なるほどね。確かに愛菜たちには実感ないよね」
愛菜「そうなんですよ」
莉々「何も歌詞通りの経験がなければ歌えない、歌っちゃいけないわけではないでしょうけど、どう表現したらいいのか……」
翔子「それであたしを呼んだわけね?」
愛菜「ええ。で、実際こういう感情ってわかります?」
翔子「んー、そうだね。あるよ」
愛菜「そうですか」
翔子「あたしはアイドルじゃないし、あんたら後輩に隠してもしょうがないから云うけど、実際恋をしてこういう気持ちになることはある」
愛菜「それって、その……性的な?」
翔子「(頷き)何もセックスしたいと思うのは男だけじゃないからね」
 やや身を乗り出すように頷く莉々たち。
翔子「もちろん、人によると思うよ。セックスが嫌だって子もいるし」
愛菜「翔子さんはそうじゃない?」
翔子「あんたたちには変態みたいに思われそうだけど、運よく、あたしはそっちが上手な相手と付き合ってきたから」
愛菜「やっぱり、上手いとか下手とかあるんだ?」
翔子「そうだね。それと相性もある」
莉々「相性?」
翔子「これまでそこまで多くはないけど、何人かと寝てみて、やっぱり体が合う合わないって云うのがある」
愛菜「わー、なんか生々しい」
翔子「(苦笑)正直、性格は合うけど体が合わないとか、その逆もある」
 興味津々の莉々たち。
翔子「2年くらい前に付き合った人がめちゃくちゃそっち方面が上手い人で、正直、その頃はセックスに溺れた」
莉々「溺れる……」
翔子「(頷き)なんていうか、自分が動物なんだって実感した」
 ごくりとつばを飲み込む莉々たち。
翔子「あんたたち、自分でしたことある?」
 勢いよく首を振る二人。
翔子「そっかあ、じゃあよくわからないかもだけど、体の芯が熱くなるんだよ」
愛菜「熱く?……」
翔子「あそこがむずむずして、濡れてくる」
 赤面する莉々たち。
翔子「そうなると、更に想像が膨らんできて、欲しいって思っちゃう」
莉々と愛菜「……」
翔子「口で言ってもわかりにくいか」
 そういうと、立ち上がり、向かいに腰掛けている莉々の隣に座る。
 ドキリとする莉々。
翔子「目を閉じてみて」
莉々「え?えっと……」
 断ることも出来ずに目を閉じる莉々。
 と、莉々の肩を抱く翔子。
 びくりとする莉々。
翔子「大丈夫。これから、ちょっとしたお芝居をする」
莉々「お芝居……ですか……」
翔子「あなたも落合先生の演技指導は受けたでしょ?」
莉々「はい」
翔子「その延長だと思えばいいよ」
 莉々、恐る恐る頷く。
 二人の様子を緊張気味に見守る愛菜。
莉々「いい?これからこのお芝居の中で私はあなたの恋人になる」
 戸惑いながら頷く莉々。
 と、その気持ちをさらに揺さぶるように翔子が莉々の方を強く抱き寄せる。
 身を固くする莉々。
 室内に異様な緊張感が漂う。
 ごくりとつばを飲み込む莉々の喉が上下する。

つづく

(img ED  黄色い線の内側で並んでお待ちください 金澤朋子)



登場人物表

桂木莉々(15) 港東女子学院高校一年生 DOPE新メンバー

三島愛奈(15) 港東女子学院高校一年生 アイドルグループ”DOPE”の人気メンバー

葉山涼 (15) 城北高校一年生 陸上部員 愛菜の幼馴染

望月辰巳(15) 涼の部活仲間

赤坂美月(15) 東京の高校生 DOPEメンバー

渋谷春子(15) 同 愛称ハル

司馬希実枝(15) 同 愛称 キミー


伊東沙織(15) 莉々のクラスメイト

相川美穂(15) 同

太田宏子(16) 城北高校2年生

広中真由子(15) 城北高校1年生

鈴村梨絵(14) 栗原中3年生 愛菜たちの後輩


桂木晴美(34) 莉々の継母 スナック経営

桂木正嗣(47) 莉々の父 大手家電メーカー勤務

北沢麗子(43) 莉々の実母 飲食店勤務



峰岡真理子(42) 芸能事務所ソラリス社長

丸井賢吾(35) プロカメラマン

浩司  (23) アシスタント

美由紀 (24) アシスタント

アキラ (27) メイク&スタイリスト

小森美奈子(28) ダンスインストラクター

飯塚孝之(33) ヴォイストレーナー

高橋裕子(42) ヴォーカルトレーナー

落合良知(53) 演技指導

羽田翔子(21) ソラリス所属歌手



戸板啓成(74) 大手芸能事務所KMプロ社長

浅間美幸(18) トップアイドル KMプロ所属

新井哲浩(40) チーフマネージャー

青木敏雄(37) マネージャー

金村美子(26) マネージャー

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